Amazon Location Service の一部機能が使用量に応じて値下げされるようなので、使用例を元に試算してみた

Amazon Location Service の一部機能が使用量に応じて値下げされるようなので、使用例を元に試算してみた

Clock Icon2023.09.21

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いわさです。

今朝、Amazon Location Service の使用レベルに応じて料金が値下げされるとアナウンスがされました。

上記アップデートアナウンスによると、今月分(9 月 1 日以降)から適用されるようです。
今回は変更前後の料金情報を元に、どういった使用状況でどのように料金が変わるのかを整理してみましたので紹介したいと思います。

なお、本記事で記載されている料金単価は本日時点の東京リージョンのものとなっています。

対象の機能

本日時点で Amazon Location Service では以下の機能を利用することが出来ます。

  • マップ
  • 場所(ジオコーディング)
  • ルーティング
  • トラッキング
  • ジオフェンシング

そして、上記それぞれで料金体系が異なっています。

例えば、マップについては取得したタイルあたりの料金となっており、ルーティングは算出されたルートあたりの料金となっています。

今回料金改定された機能は上記の太字部分のトラッキングとジオフェンシングが対象です。
その他の料金も変更前後の比較を行ってみましたが、変更がないことを確認しています。

トラッキング

トラッキングとはユニークな ID を割り当てて、その ID の時系列位置情報の書き込みと読み込みを出来る機能です。
ユースケースとしては、屋外を移動するデバイスなどの位置情報をトラッキングするために使うことが出来ます。

トラッキングの料金ですが、主にデバイスからの位置情報の書き込みと、書き込まれた位置情報を読み込みする際に発生します。
読み込みも書き込みもバッチ API を通して複数要素のリクエストを一括で行うことが出来るのですが、料金ページの以下の記述から、バッチ API ごとの料金ではなく位置情報ごとの料金と考えて良さそうです。

バッチ呼び出しでリクエストされた各要素は 1 つのリクエストとして算定されます。

変更前

変更前は書き込みも読み込みも、1000 個の位置情報あたり 0.05 ドルでした。
書き込みについては料金ページに記載がありませんでしたが、同ページの「料金の例」から 0.05 ドルと読み取ることが出来ます。

変更後

変更後は読み込みについては変更がありません。一律で 0.05 ドルのままです。
書き込みが使用量に応じた段階的なレートが適用されるようになります。

位置情報の書き込み量 1,000 件あたりの単価
0 ~ 500,000 0.05 ドル
500,001 ~ 5,000,000 0.035 ドル
5,000,001 ~ 50,000,000 0.025 ドル
50,000,001 ~ 0.0125 ドル

使用例ベースで試算してみた

上記の割引レートはどの程度の使用規模で適用されるのでしょうか。
公式料金ページに記載のある使用例ベースで考えてみましょう。なお、公式料金ページでは無料枠についても計算に含まれていますが、この記事では割愛します。

小規模な配送業者が 10 台の車両を持ち、週 5 日、100 の顧客拠点に配送しています。顧客満足度を向上させるため、配送業者は各車両を追跡し、各配送が完了した時点で顧客に自動メッセージを提供しています。 (中略) アプリケーションは 15 分ごとに、10 時間/日、20 日/月、車両を追跡します。この結果、1 か月あたり 8,000 回の場所書き込み (10 台の車両 × 10 時間/日 × 4 回 (15分/1時間) × 20 日) が発生します。

上記の使用例だと 8,000 回の書き込みが発生するのですが、この場合だと 500,000 回にすら達しないので、料金は変更前と変わらないですね。
15 分ごとの位置情報書き込みを 1 分ごとの書き込みに変更したとしても 8,000 回 x 15 なので 120,000 回ですね。

10 台の車両が 100 台の車両(デバイス)と考えると 1,200,000 回なのでようやく割引が効き始めてきそうです。 この場合は変更前が 60 ドル/月で、変更後は 50 万回までが 25 ドル、50 万回以上で 24.5 ドルとなり、計 49.5 ドル/月 となるので少し安くなっています。

これが 100 台ではなく 10,000 台のような大規模な場合だと、変更前が 6000 ドル/月で、変更後は約 2,200 ドル/月となりました。かなり安くなっていますね。

ジオフェンシング

ジオフェンシングは複数の座標を指定してエリアを独自に定義し、デバイスなどがそのエリアに出入りしたというイベントを受け取ることができ、通常はトラッカーと併せて使用されます。
ユースケースとしては例えば、複数のトラックを追跡していて、トラックが倉庫の特定のエリアに入ってきたときに通知を受け取りたい場合などに使うことが出来ます。

ジオフェンシングの料金ですが、大きくはデバイス位置の評価と、ジオフェンス(エリア)の作成や保存などの管理で発生します。

変更前

変更前は位置情報の評価は 1,000 個の位置情報あたり 0.2 ドルでした。
こちらもなぜか料金ページの表に記載がありませんでしたが、「料金の例」から 0.2 ドルと読み取ることが出来ます。

ジオフェンス管理関連は作成や参照などは 1,000 個のジオフェンスあたり 0.05 ドル で、定義したジオフェンスを保存するために 1,000 個あたり 0.2 ドル/月が必要となります。

変更後

まず、ジオフェンスの管理および保存については変更後も料金の変更はありません。
今回変更があったので位置情報の評価の単価です。こちらも使用量に応じた段階的なレートが適用されるようになります。
一点、先程のトラッキングと異なる点としては最初の段階から変更前より安くなっている点です。そのためジオフェンスに関しては使用量に関わらず単純な値下げも含まれています。

位置情報の評価 1,000 件あたりの単価
0 ~ 250,000 0.16 ドル
250,001 ~ 2,000,000 0.11 ドル
2,000,001 ~ 25,000,000 0.07 ドル
25,000,001 ~ 0.06 ドル

使用例ベースで試算してみた

上記の割引レートはどの程度の使用規模で適用されるのかを先程と同じ様に公式料金ページの使用例ベースで考えてみました。

トラッキングと同じ小規模な配送業者の例で、各配送が完了した時点で顧客に自動でメッセージを送信するためにジオフェンシングを使用した場合も考えられています。

最後に、顧客に通知するために、各車両のトラッキング情報をジオフェンスと照らし合わせて評価します。配送業者はトラッカーリソースに精度に基づくフィルタリング機能を使用しているため、ジオフェンスに対して 80% の場所のみが評価されます (8,000 個の場所 × 80% = 6,400 件の評価/月)。

この場合に評価されたジオフェンスは 8,000 件の場所 × 80% = 6,400 件の評価された位置情報となり、変更前の料金は 1.28 ドル/月となります。
6,400 件と少ないので段階的に値下げしたレートは適用されませんが、スタートの単価が安くなっていますので、変更後は 1.02 ドル/月と若干安くなっていますね。

先程のトラッキングの例のように 10,000 台のデバイスで 1 分ごとに評価するような大規模な場合だと、変更前が 19,200 ドル/月だったものが、変更後は約 6,100 ドル/月となり、三分の一程度の料金になっています。これはすごい。

さいごに

本日は Amazon Location Service の一部機能が使用量に応じて段階的に値下げされることがアナウンスされたので、情報を整理してみました。

アップデートアナウンスを見ただけだと、なんとなく「何かが値下げされるっぽいな?」という感じだったのですが、情報を整理したことでどの程度のユースケースで恩恵が受けられるのかがイメージしやすくなりました。

なにかアプリにマップやジオコーディングを組み込んでいる程度であれば今回の値下げの恩恵を受けることはありません。
一方で位置情報の追跡を伴う配送アプリケーションなどにおいては、一定以上の大規模な利用だと大きな割引を受けることが出来そうです。

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